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デザインのあ展neo

社員の日常

お久しぶりです。デザイナーの田中です。

本日は25°なのですが40°近い猛暑日に慣れてしまったせいかこの気温でも少し肌寒く感じるようになってしましました。今回は少し前に行った『デザインのあ展neo』について紹介したいと思います。

『デザインのあ展neo』とは

「デザインあ展neo」は、NHK Eテレで放送中の番組「デザインあneo」のコンセプトを、体験の場に展開する展覧会です。これまで2013年に21_21 DESIGN SIGHTで、2018年から2021年には日本科学未来館、富山県美術館など全国6つの美術館で「デザインあ展」として開催。今回3回目となる「デザインあ展neo」では、こどもたちにデザインについてさまざまな思考 ・ 発見を楽しんでもらうコンセプトはそのままに、新たなテーマの新作が展示されています。実は前の開催時期である大学生時代に行こうと思ったのですがSNSで話題になったころには東京での開催は終わってしまい九州での開催時期だったので断念してしまいましたが今回は無事見ることができました。

総合ディレクターの佐藤卓さんは、『にほんごであそぼ』のアートディレクションや、『明治おいしい牛乳』のパッケージデザイン、『ロッテ キシリトールガム』のデザインなどを手掛けられています。

個人的に印象に残っているのは、『明治おいしい牛乳』のパッケージです。シリーズには『明治おいしいミルクコーヒー』『明治おいしい生クリーム』『明治おいしい低脂肪乳』など多くの商品がありますが、色合いが変わっても一目で「明治おいしい牛乳」ブランドだとわかる統一感があります。

乳製品のパッケージは似たデザインになりやすい中で、ブランドとしての存在感をしっかり打ち出している点があこがれます。

到着する前から楽しいあ展

「モノ」をテーマとしてきたこれまでの「あ展」に対し、今回のテーマは「あるく」「たべる」「すわる」「もつ」など、わたしたちが行う日常をつむぐさまざまな行為(動詞)であり、それらを作品に落とし込んでいるらしいです。

会場は東京の「TOKYO NODE」という施設なのですが、地下鉄の改札を出てから45階にある展示施設までの道のりに遊び心のある動詞が散りばめられていました。

階段の「のぼる」

展示施設前のしかけとしては一番大きかった動詞の展示な気がします。大きいのでバーンと目に入ってきて思わず笑ってしまいました。

行き止まりの「まがる」

エレベーターホールに行くまでにある一本道の行き止まりにある「まがる」の文字。じつはこの曲がるが登場するまでの壁には「あ」という文字が散りばめられていてそれを見るのも楽しかったです。

エレベーターの「おす」

エレベータのボタンを押そうとすると目にはいってくるちいさな「おす」の文字。今までの大きな展示と違って小さいので見つけたときにちょっと嬉しい気分になります。ボタンにかいてあるはみ出し気味なサイズの「あ」もかわいいです。

自動ドアの「ひらく」「しまる」

展示施設手前の自動ドアには「ひらく」と「しまる」の文字。ここまでのテキストにはすべて英語verも書いてあるのですが、英語と比べると日本語の動詞は少ない文字数で構成されていますよね。動詞に限らず日本語は「絵」「胃」「木」など1音で表される言葉が少なくないのですが、英語圏の人はそのことに驚くことがある、とどこかで聞きました。たしかに英語は「the」や「a」などの冠詞は一音でもそれ以外は2音以上な気がします。不思議ですね。

メニュー看板の「たべる」

大きく書かれた「たべる」の文字のほかに、入れ物に「つつむ」と書かれたハンバーガー、「のむ」と書かれたドリンク、「そめる」とかかれた着色料で色を付ける綿あめドリンクなど、写真だと見ずらいですが看板の中にたくさんの動詞が隠れていました。

施設内のお気に入り展示

施設内には動詞をテーマにした展示がいくつもあるのですが、今回は私が特に好きな4点を紹介したいと思います。

身近なモノと動詞

モノに対する動詞がモノに直接書いてある展示です。傘の展示一つにしても柄の部分には「さす」、傘の部分にはビニール傘であり透明なので「みとおす」、さらによく見ると小さな「はじく」の文字が沢山ついています。知恵の輪には「はずす」「さぐる」「まわす」などいろいろな動詞がみちみちに詰まっています。画像だとわかりづらいのですが実はこれらの展示は動いていました。「そそぐ」と書かれた牛乳は写真だと傾いている状態ですがまっすぐ立っていることもありました。動く仕掛けとして面白かったのがライトです。電気がついてないときは何もないのですが電源を入れると「てらす」という文字が映し出される展示です。日常の中のありきたりな動作ではありますが、視認できるテキストとして実際に置かれると確かに!と思う展示が沢山あるブースでした。

食べる動作

食べる手元の動作が沢山展示されているブースです。画像には写っていないのですが「いただきます」で始まって「ごちそうさまでした」で終わるところが日本を感じる好きなポイントです。お箸だけでなくナイフとフォークバージョンも近くにあります。

ピクトグラムなどもそうなのですが同じサイズで統一感を持たせたまま、違う意味を持つ異なるデザインを作るということがとても苦手です。特に手のオブジェのこの均一感を出すことが私には難しそうなのですごいな…と眺めてしまいます。

学生時代、まっさらな紙に書いてもほとんどの字が同じ大きさでまっすぐかける同級生が何人かいたのですが似たような技術でしょうか。私は書道を10年以上習っていましたがそのスキルはみにつかなかったので羨ましいです。

天井にあるごみ箱

天井に「すてる」のテキストとともにゴミ箱がありました。下から上に送風機で風が送られているため、したからビニール袋をうまく風の軌道に乗せてあげるとちいさなゴミ箱に袋が入ります。小さな子たちが頑張って入れているのがほほえましかったです。たまに送風機がとまり天井のゴミ箱に入っていた袋が落ちてくるのですが、そうなると子供たちの袋争奪戦です。このブースだけはデザインの展示施設ではあまり見られない熱気に満ちていました。

いろいろな持ち手

いろいろな「持ち手」のみが展示されたブースです。持ち手のみのブースのためハサミの刃はなしの持ち手だけ、ドアノブだけ、ホチキスや洗濯ばさみは全体が持ち手なのでそのまま展示されています。足元をみると立ち入り禁止のロープを手のオブジェが紐をもって示してくれています。さすが持ち手のブースです。展示本体だけでなく仕切りの部分にも遊び心があり好きなブースでした。

さいごに

普段あまりに自然に行っている動作のため気にしていませんでしたが、いざテキストやオブジェとしてみると面白いものが沢山あったので行ってよかったです。期間も延長されまだ一カ月ほど開催されているようなので気になる方はぜひ行ってみてください。